インタビュー

友人のために始めたネイル。
ネイルで喜びを。

―ネイリストを目指したきっかけは？

私がネイリストを目指したのは30代後半の頃でした。当時は福岡県で暮らしていて、富山県にある実家が自営業だった頃もあり「いつかは家業を継ぐだろう。そのときに何か手に職があれば…」と考え、ネイリストに着目しました。また、ネイル好きの友人が病気を患ったこともあり、その彼女を元気づけたい想いも後押しし、ネイルの学校に通い始めました。

―その後ネイルサロンをオープンした？

いえ、最初の頃は友人のために、空いた時間を見て施術をする程度で、福岡県でネイルサロンをオープンしたわけではありませんでした。本格的にネイルサロンを開いたのは、約9年間の福岡県での生活を経て、富山へUターンしてからのことになります。

家業に入る形でネイルサロンをオープンしました。

いつかは家業を継ぐ―。
レールが見えていた幼少期。

―家業を継ぐ、というのはいつ頃から考えていたのでしょう？

「こにしビューティックス」は両親が営んできた化粧品店と調剤薬局でした。長女だったこともあり、物心つく頃には、いつか自分がこのお店を継がなければならないと思っていました。子どもの頃は、今のように化粧品の割合が多かったわけでなく、薬局としてのイメージの方が強かったと思います。私自身は薬学部に進学したのち、資生堂に入社し、20代前半から家業を手伝うようになりました。

―手伝うようになって、いかがでしたか？

それが、いざ家業に入ってみると、外と触れ合えない環境に疑問を感じるようになりました。間もなくして、自分の可能性を知りたいと考えるようになり、25歳の頃にワーキングホリデーでオーストラリアへ。自分のやりたいことにチャレンジできたことへの満足感と日本の魅力を再発見して、帰国後は再び家業を手伝い始めたのですが、行って本当に良かったと思っています。

自分の可能性を試したい。
オーストラリアでの経験。

―外と触れ合いたいから、ワーキングホリデー。
　その決断は何故でしょうか？

一番は「自分の可能性を試したい」、「自分の可能性を知りたい」、という想いからだったと思います。また単純に日本以外の海外での生活を送りたいという憧れもありました。
1ヶ月だけ語学学校へ通い、そのあとはオーストラリアを転々としながら、ワイナリーなどの1日単位の日雇いの仕事をして過ごしました。宿は1,000円台のバックパッカーが泊まるような宿を頼り、辞書を片手に、広大なオーストラリアを旅するように巡りました。

当時はスマホはないけど、パソコンはあったので、インターネットでいろんなことを調べながら過ごし、偶然にも現地で日本人と出会えると嬉しくて、情報交換をしたりしていましたね。

ワーキングホリデーの間にやりたいことを決めていたので、期間も限られていたので濃密な時間を過ごしました。

―やりたいこと？

ワーキングホリデーの間でやりたいと決めていたことは、ダイビングの免許を取ること、自転車でワイナリーを巡ること。そして、私は子どものころから踊ることが好きだったので、現地でダンスのワークショップに参加すること、でした。

バレエやフラメンコ、スパニッシュダンスなどのワークショップがあり、どれも気になったのですが、参加するにはそれらに合った道具・シューズの準備が必要で…。シューズといっても結構高額なんですね。それで参加のしやすさからバレエのワークショップに参加しました。

言葉は全然分からなかったのですが、バレエは習っていたこともあり、バレエ用語は共通だったので何とかついていくことが出来ました。

様々な経験を経て、富山県へUターンする頃。山口さんは既にフラメンコ教室に通うことを決心していました。習うならば絶対にこの人に―。それが運命の出会いとなって山口さんの人生はさらに色濃くなっていきます。

―後編へ続く。