好きなことを見つけ、没頭する。
そしてそれを続けていく素晴らしさ【後編】
フラメンコの恩師。
島田純子先生との出会い。
―フラメンコはいつから始められたんですか?
フラメンコは結婚する前から教室に通っていました。踊りをずっと続けたい想いが強くて…。福岡県時代もフラメンコは週1だけ続けていて。富山へUターンする前から、島田先生のことを知っていて、体験レッスンにも行っていて、絶対にこの人から学びたいと決めていました。
この出会いがターニングポイントだったと思います。
島田純子先生はおひとりで80人くらいの生徒を指導しているんですが、とっても厳しい先生なんですが(笑)、でも愛情深い方で可愛がってくれて。とにかくフラメンコに対する情熱があつく、こんな素晴らしい先生は他にいないと思います。大人になった今も本気で怒られ悩むことも…。でも嬉しかったり、楽しかったり、全ての感情をフラメンコと島田先生から与えてもらっているほどです。
ー何故フラメンコ?
子どもの頃にバレエを習ってきましたが、大人になってバレエを再開しようと思うと、プロを目指す子どもたちが多くて、それにはついていけないと思いました。足を出すのも控えてたくて(笑)。ちょうど、カルロス・サウラ監督の映画を見て感動したこともきっかけとなって、フラメンコに注目しました。
フラメンコって、他の踊りとは異なり、決まった音楽にのって舞うのではなく、ギターと歌い手と踊り手がその場で息を合わせて表現するんですね。想像するだけでも、そんなことできるかなって思いそうなのですが、やってみて良かったと思っています。
今はフラメンコのアシスタント講師を務めさせていただくこともあるので、やってみなきゃ分からないですよね。
家庭、仕事、そしてフラメンコ。
やりたいことをやり続けるには?
―仕事も、子育ても、さらにはフラメンコもあってお忙しそうですが、ライフワークバランスってどうされていますか?
それまでの自分の人生は「何かをいつも諦めていた」と思うんです。幼少期から家業を継ぐのが自分の未来だと思い込んでいたし、母親として子どもに負担を感じさせるくらい頑張りすぎていた時代がありました。
でも、全部やめようって思って。
だから今は「諦めずにやろう」という想いが強いですね。一度しかない人生だからこそ自分の人生を歩むことにしたんです。子どものことも「○○やりなさい」なんていうことも一切なくなって(笑)。そしたら、お互いに笑顔で過ごせることが増えて、人生180度変わったと思います。
実は、過去に私のフラメンコのコンクールと娘の音楽コンクールの日がかぶったことがありました。普通なら親が予定を諦めて、娘の行事を優先するものだと思いますが、私はそうしなかったんです。同じ日にそれぞれがそれぞれの舞台に立つ。お互いを想って頑張り合える、そう思うことにしました。娘はどう思っているのか分かりませんけどね(笑)。
けど、お互いがそれぞれのことを頑張り合ってるからこそ、もしも何かに失敗したとしても「それって過程だよね」っていいアドバイスが出来るようになったというか。そういう親子関係が今とても幸せですね。
―これからの目標はどのように考えていますか?
家業を完全に受け継いで、これから仕事は自分の事業としてやっていくのですが、まずはちゃんと継続していきたいですね。フラメンコは仕事ではありませんが、これもずっと続けていきたいんです。
フラメンコを一緒にしている仲間は最高のメンバーで、人の悪口なんて絶対に言わないし、それどころか人の踊りを見て涙を流すような人ばかり。いつも前向きな仲間に囲まれていることも幸せですね。これまで何かに達成すると完全燃焼してしまうこともありましたが、フラメンコはやればやるほど面白みが増してるんです。多分踊れなくなるまで踊ると思います。
一生続けていきたいですね。
自分らしく生きるために
自分を好きでいる、とは?
―自分自身を好きだと思える自分って、どんな自分ですか?
ただ漠然と「好き」と思えること。
人には迷惑をかけたくないから「好き勝手する」のとは違います。
表現が難しいんですが、自分を犠牲にせず…なんというか自分で自分の機嫌をとれるような。
例えば、「この仕事が好きだなぁ」と思える瞬間や「フラメンコをしていてなんて幸せなんだろう」と感じられること、そういったことに素直に喜べて感謝できること。そんな自分のことを好きだなぁと思えますね。
私にとってはフラメンコの存在が本当に大きいんです。
コンクールに出るなんて思ってもみなかったけど、フラメンコの世界に足を踏み入れてみて、コンクールに出る機会をもらって、それまでは「フラメンコを踊るなんて!コンクールにでるなんて!」と縁遠いものだと思っていたけれど、やってみたらそうではなかったんです。
やってみたら出来る。
―最後に読者へメッセージをいただけますか?
もし皆さんにとって「できない!」けどやってみたい…、と思うことがあるならば絶対挑戦してほしいです。
チャンスがあること自体が幸せなことなんだと思うんです。
私自身もフラメンコでコンクールに出るなんて、想像もできなかったし、練習も大変だったけど、終わってみれば本当にやりきることが出来たし、仲間と一緒に最高賞を受賞することも出来ました。こんな自分になれるなんてビックリだけれど、だからこそ、皆さんもチャンスがあれば是非チャレンジして!って伝えたいですね。