いつかではなく、今を生きる。
心身ともに健やかであるために。【後編】
多くの人は、生活に必死で、自分のやりたいことを我慢したり、後回しにしたりしがちです。順調とは言い切れない環境にありながらも自分の楽しみも大切するためのコツを深堀していきます。
トライアスロンで
健康増進と仲間づくり
ー林原さんの好きなことに「トライアスロン」があると思いますが、これに長年取り組めているのはどのような考えからですか?
トライアスロンは、泳いで、自転車に乗って、走るスポーツです。ハードなイメージを持たれがちですが、実はみんながやったことのある3種目。ゆっくりなら、誰でもできるんですよ。時間のないときには家からランニングを、ちょっと時間のあるときや雨の日にはプールへ泳ぎにいって、半日程度の時間があれば自転車で遠出…と使える時間や天候に合わせて3種目から選べるのもトライアスロンのいいところです。
この3種目は「1、2♩1、2♩」と一定のリズムを刻む「リズム運動」といわれる運動です。リズム運動はメンタルにも良い効果があり、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンという脳内物質が出やすくなるんです。軽いジョギングなどの「リズム運動」をするとセロトニンが出て、元気でポジティブな気分になる人が多いといわれています。
ジョギングは中学生の頃から続けていたので、セロトニン効果のおかげで人生のいろいろな困難を乗り越えてこれたのかもしれません(笑)。
―お子さんを出産してから しばらく、トライアスロンから離れていた時期があるそうですが、トライアスロンを再開したのは、きっかけがあるんでしょうか?
トライアスロン再開は、東日本大震災がきっかけでした。
多くの方が亡くなり日常生活を失った光景に、やりたいことは今やらなかったら次の瞬間にはできなくなるかもしれない…と感じて。
トライアスロンを通じて友達や仲間ができました。仕事の関係者でも家族でもない、利害関係がない人たちと何気ない話をすることは気分転換やリフレッシュにすごくいいんだなぁと感じています。
大抵の悩みの答えは「本」の中に。
先人の教えから幸せを追求する。
ー悩みにぶつかったとき、それを乗り越えるためにできることにはどんなことありますか?
私が子どもの頃に姉からもらったアドバイスがあります。それは
「大抵の悩みは自分より先に悩んだ人がいて、その悩みの解決法は、本に書かれている。だから、悩んだときは図書館か本屋さんに行けばいい」
と。私もその通りだと感じています。
私は本を読むのが好きな子どもでした。小学生の頃、夏休みには図書館の本を100冊読んで、表彰されたこともあります(笑)。
また、長女を出産してから、母親差別や自分の変化を受け入れられず、悩んだことがあり、育休中は本を読み漁りました。その中の1冊がヒントとなり、生後6ヶ月の長女と2人だけでイタリア旅行して「母である自分」に自信を得た経験もあります。
▶ イタリア旅行の話は林原さんのブログをチェック!
悩んだときは、まずは図書館や書店へ行って、そのキーワードが含まれている本を10冊ぐらい読むようにしています。
共通する部分が必ずでてくるので、その事柄の重要なポイントが正しく理解できるようになります。今回お話しした過去の経験も、悩んだり、迷ったりする度に関連書籍を読み、そこから学んだことで解決できたことが多かったと思います。
人には「短所」なんて存在しない。
大切なのは心地よい場所を追求すること。
ー林原さんにとっての「幸せ」ってどういうものだと思いますか?
私にとっての幸せを感じる要素として「愛」「健康」「自由」「自立」を掲げています。
「愛」は人間関係を指します。
良い人間関係があれば、やっぱり幸せですよね。いくらお金があっても1人では幸せを感じないと思うんです。
また忘れてはならないのは「自分」に対する愛ですね。「自分を大切に扱う」「自分の想いを素直に尊重する」「自分の欲求をないがしろにしない」。こういうことが、自分らしく生きるために大切だなって思います。
「健康」はこれまで話してきた通り健やかな心身のこと。「自由」は自分の考えたように語り、考えたように行動を起こせることです。
「自立」は自分で「自分のことができる」「頼りになる自分でいる」こと。自立することが自由であるためにも必須だと考えています。
ー”私らしく”生きるためにはどうしたらよいのでしょう。林原さんの考えを教えていただけますか?
「自分の価値観を自分がまず尊重して生きていること」でしょうか。
”私らしく”あるためには、前提として自分自身がどういう人間であるかを理解する必要があります。
すると周囲の人とのズレを感じることもあります。
そのズレを私たちは「短所」だと勘違いしがちですが、私は人に「短所」はないと考えています。
「短所」だと捉えるかどうかは組み合わせの問題です。
それよりも、その「短所」に見える特徴を「長所」として活かせる場所に自分を置くことが重要なんです。
例えば、私自身は自分の考えをはっきり口にするところを「KY(空気が読めない)」とか「協調性がない」と言われることがありました。
でも、コンサルをしたり、編集者として他人の原稿に加筆修正したり、商品企画をしたりするなかでは、相手のために耳が痛い指摘ができたり、いいと思うことはいいと主張できたりするメンタルは、長所です。
「私らしい特徴」が「短所」ではなく、「長所になる場所」にいると、毎日楽しく、「私らしく」過ごせます。
「長所になる場所」の見つけ方は、自分のことが好きでいられるかどうか。
もし今いる場所で「自己肯定感が下がる」「いつも気疲れする」など違和感を覚えるなら、自分らしさが長所になる場所を自ら選び、つくり出してほしいですね。
―お子さんもいつか手を離れる日がくると思いますが、そうなった先「第2ステージ」の夢や目標を教えていただけますか。
私がこれまで取り組んできた編集やブランディング、コピーライティングやコーチング、ボランティア活動などで、共通して伝えてきたことは、
「自分自身(や商品・サービス・活動)を正しく理解し、適切な表現で周囲に伝え、やりたいことは実行しよう!」
ということです。
また、自分自身もそうあろうと努めてきました。
これがうまくできると、自分を好きになったり、気の合う人と信頼関係を築けたり、儲かったりと、幸福度が上がるんです(笑)。今後もこの分野のサポートは、求められる限り続けていくつもりです。
また、人生の半分が過ぎて感じるのは、心身の健康の大切さ。健康は、幸せを感じるための土台ですよね。
私が苦しいときに心身のバランスを取る助けとなったのはトライアスロンです。その「健康スポーツ」や「仲間づくりの場」としての魅力を多くの人に伝えるといった、健康的なエイジングを応援する活動も広げていけたらと思います。
あとは、20代の頃やりたいと思っていたのに、結婚や出産で実現のタイミングを逃した夢がいくつか残っています。子どもたちが独立してからそれを実現するのも、今から楽しみなんですよ(笑)。