直感を信じて、カタチにしていくこと。
難しいからこそやりがいがある。【前編】
そんなアクアオーラが現在に至るまでには、数々の試練があったそうです。しかし、ここで働くスタッフは「このお店が大好き!自分が出来ることをもっとやりたい!」と口をそろえて言います。それだけ『女性が働きやすい環境』を整える秘訣は何なのでしょう。また、彼女を動かす原動力は一体何なのでしょうか。
母であり、オーナーであり、1人の女性。
古川靖代という人物。
創業当時、古川さんは34歳。既婚。約10年間不妊に悩む日々が続いたそうです。
美と健康に関心があった彼女は、当時、【何かやりたい(起業したい)気持ち】と【子どもが欲しい気持ち】に阻まれていたといいます。そんな時、ふと「子どもを言い訳にやりたいことをしない自分は嫌だ!」と感じて、起業を決意。そこからは自分の気持ちに正直に突き進み、2009年に個人事業主として「アクアオーラ」を構えました。
そして、39歳のときに妊娠・出産。自分自身には育休制度もないため、妊娠8ヶ月まで重い体で施術もしていたそうです。また、自分のお店を放っておくわけにもいかず、産後2か月半くらいから仕事に復帰。この大変さを痛感していたからこそ、会社の環境を整えたいという思いが強いのかもしれません。
また、子育てを支えてくれた実母の存在は大きかったようです。会社員の旦那さんも家事・育児ともに協力的。周りに支えられて、自分の思い描くように活動出来ている、と古川さんはおっしゃっていました。
創業のきっかけ。
法人化までの苦悩や決意。
個人事業主として活動していた時代。当時スタッフ4名を抱え、従業員全員に社会保険等の福利厚生を整えていたそう。
そんな折、頼りにしていたスタッフの1人が結婚。「いつか妊娠して、辞めてしまうのではないか」という不安から、育休制度を整えることに拍車がかかりました。
「ずっとこのスタッフと働きたいと感じていました。だからこそ、体制を整えるべきだと思い、法人化を決意しました」と語ります。
すると、偶然にもスタッフ2名が同時に妊娠(しかも出産予定日が同じという奇跡!)。2名が育休に入ることばかりに目をとられがちだが、残る2名のフォローも大切だということに気付いたそうです。
そこで、古川さんが実行した施策は2つ。
①担当者制度を廃止。急なお休みや行事に対応できるように、1人のお客様をチームで支える体制に。
②1時間単位で時間休(有給)がとれるように。保育園の呼び出しにも有給を無駄遣いせずに消化できる。
そして、育休取得後も従業員が辞めることなく、チーム全体でお店を発展させています。
自分だけのお店ではない。
みんなで作り上げるエステサロン
個人事業主の頃から、いつかは自分のお店を建てたい、と漠然と思っていたという古川さん。そして、従業員が6名に達した時、このテナントではもう限界だと感じたそうです。そして、新築一棟を建て富山店を移転OPEN。その後も、高岡市から通って務めているスタッフのために、高岡店もOPEN、と事業を拡大しました。
「結婚をすればいつかは子どもが出来るかもしれない、子育てしながら富山まで通うのは難しい。そんな大変なことはさせたくない。だったら、高岡店だそう!と決めました。それは、そのスタッフにお店を任せられる実力と人柄があると信じていたから。本人もやる気満々で応えてくれました(笑)」
こうして、現在は富山店6名、高岡店5名の社員を抱えながらも、誰ひとり取り残さない職場環境を実現しました。後編では、古川さんの信念や未来展望などを、より一層深堀りしていきたいと思います。