いつかやろうの「いつか」はこない 必要とされるならば私が今やる【後編】
後編では、個人事業主として夢をスタートさせた浮田さんの苦悩からの脱却ストーリーや新しいチャレンジについても伺います。
個人事業主から法人へ。
事業発展へのターニングポイント
起業したものの、なかなか受注のない日々が続く中、浮田さんは同じ時期に商社に転職した元同僚に相談をもちかけます。「整理収納セミナーをまずはハウスメーカー向けにやらせてもらえないか」と。
「話を真剣にきいてくれた同僚が、すぐさま講座の企画をしてくれて!結果富山・石川で約50社の会社の方が集まってくれたんです(涙)。講座はとても好評で、一気にセミナーの依頼が増えたんです。今のクラデュースがあるのは同僚の支えがあってこそかもしれません。」
講師業と家事代行サービス。
事業は大きく成長し始めました。
起業から数年経ち、事業も安定し始めた頃、友人からこんな話をされたそうです。
「クラデュースの事業は社会貢献性が高いんだから、法人として形にしたほうがもっと多くの方をサポートできるのではないか?」
それまで「法人化」を考えたこともなかった浮田さんでしたが、周りの後押しもあり意識し始めるようになったそうです。
「確かに法人格があったほうがご依頼の幅が広がるし、より多くの方のサポートができるかもしれない。500万円貯まったらそれを資本に法人化しよう!」
と決意。そして2016年に「クラデュース株式会社」が設立されました。
経験がないからこそ
チャレンジできたこと
とある日のこと。
お片付けサービスで訪問したおばあちゃんから「お弁当配達サービス」を探していると相談を受けます。しかし、オススメしたいと思うお店が思いつかなかった浮田さん。
「1人暮らしの高齢者に自信をもってオススメできるお弁当を作りたい」そう思うようになったそうです。
そして2017年、宅食サービス「まるでりキッチン」を立ち上げました。
管理栄養士が監修した家庭の味を堪能できる手作りの温かいお弁当の配送サービスです。
「私の周りには食に関するプロがたくさんいたんですが、最初はみんなに反対されました。そんなに甘い世界ではないと。今思うと、何も経験がなかったからこそチャレンジできたのかもしれません。もちろん、最初はうまくいきませんでした。この状況があと3ヶ月続いたらお金が全てなくなってしまうというところまでいきましたから…。」
しかし、「まるでりキッチン」は今では、みんなに愛される場所となりました。
「先日、今の場所に移転してから3周年のイベントを開催したんです。いつもお店やお弁当を利用してくれるみなさんに集まっていただいて楽しい時間を過ごしました。そこで宣言してしまったんですよね。これからもずっと続けていきます!って。もう辞められなくなっちゃいました(笑)」。
事業は時代とともに変化する
「家事代行サービス」の新たな可能性とは
家事代行サービスは、少し前までは「裕福な家庭が利用するもの」というイメージが強かったと思います。
しかし時代は変化しています。
もっとカジュアルにサービスを使う方が増えてきています。富山県では「産後ヘルパー派遣モデル事業」がスタートし、出産したばかりのママが家事代行サービス利用する際に補助を受けることができるようになりました。
1人で暮らす高齢者も年々増えています。すべての人の「困りごと」の支えになれるのが「家事代行サービス」です。まだまだ需要の増加に期待されています。
クラデュースのミッションは『人の毎日を幸せにすること』。
「あーーー!精一杯生きた。いい人生だった!』人生最後のその日、そう思ってもらうために、満足以上の感動レベルのサポート・心遣いを目指しているんです。人の命は、突然失われることを経験してしまう環境にいるからこそ今日の1日の大切さが身にしみるんです。」
と語る浮田さん。
「ラ・シックを見ている皆さんの年代のうちから、生活環境を整えておくことはすごく大切です。これからどう生きていきたいかをぜひ見つめなおしてほしいと思います。」
最後にこれから挑戦したいことについて伺ってみました。
「実はもうすぐ新事業をスタートさせる予定なんです。暮らしで一番大切な『住む環境』を整えてもらうために、住宅会社の営業企画代行サービスを始めます。この仕事を始めた頃の初心を思い出しながら、とてもワクワクした気持ちで準備を進めています。」
キラキラした目でお話しされる姿がとても印象的でした。
いくつになっても、なお新しいチャレンジを続ける浮田さん。
そこには「誰かの困りごとを解決したい」という気持ちが常に存在し続けていました。
いつかやろうの「いつか」はこない。やりたいと思った今から始めてみるのも人生を楽しむ1つの方法なのではないでしょうか。