5年後、10年後も幸せであるために。
セブンハピネスが人生のテーマ【前編】
デジタル化、AI化が進む未来でこそ
必要と言われる「コミュニケーション能力」
性格統計学の生みの親で、《伝え方コンサルタント》という肩書で活躍する稲場真由美さん。
この性格統計学は稲場さん自身の失敗経験が元となって生まれました。
数年前、「20年後、無くなる職業」というのが話題になりましたが、コミュニケーション能力は《20年後もあり続ける必要な能力》として注目されています。
コロナ禍によりオンラインでの繋がりが増える中、これまでにも増して、コミュニケーションギャップによるトラブルや悩み、葛藤を感じたことのある方は少なくないはず。家庭でも職場でも友人関係でも、「人間関係で悩んだことのない人なんていない」といっても過言ではないのではないでしょうか。
裏切り、挫折、失敗
性格統計学の誕生
稲場さんが生み出した性格統計学を元とした《伝え方》のセミナーや講座は、今でこそ全国各地からの受講生も多く、法人研修にまで取り入れられるようになりましたが、最初から順風満帆だったわけではありませんでした。
性格統計学を生み出す前、稲場さんは下着販売のマネージャーをしていました。スタッフも増え、業績は好調。事業は年々拡大し、組織は大きく成長していったといいます。
「この調子で…」と事業計画を考える稲場さんの気持ちとは裏腹に、スタッフとの間には小さな亀裂が入り始めていました。仲間とぎくしゃくした空気を感じていた、ある日のこと。スタッフがごっそりと退職。
稲場さんは思い切って退職したスタッフに「どうして?」と尋ねたそうです。
すると、「だって、稲場さんは“ありがとう”が言えない人だから」と言われてしまうのでした。
コミュニケーションは普段から大切にしていたし、得意だと思っていただけに大きなショックを受けたと当時を振り返ります。
感謝を伝えていたつもりだったのに、何故かそれが伝わっていなかった…。
その事実に気付き、猛省し始めるのでした。
相手は変えられない
変えられるのは自分だけ
性格統計学を生み出す以前から、《人はタイプに分けられる》ことを理解していた稲場さんは、この経験を通して、改めて“人は自分と同じじゃない”ということを痛感します。そして、相手に合わせてもらうことは無理だから、自分が変わろうと決心します。「相手に合った伝え方」「相手に伝わる表現法や言葉の選び方」を意識し始めるようになります。
その後は、スタッフやお客様にいろんな伝え方を試していく日々が始まります。
タイプに合った「伝え方のコツ」がわかるようになると、業績は回復していきました。そして、「伝え方のコツ」をスタッフに教育できるよう体系化していったのです。
「そのとき、私は販売する仕事ではなく《人を教育する仕事》が好きなんだ、と気づいたのです。」
最終的には業績は28倍(!!)にまで回復、急成長。
事業の成功だけでなく、人生全体の幸せにおいて「伝え方」は欠かせないと確信した稲場さんは、そのメソッドを事業化するため、当時年収2,000万円だったその地位を捨て、辞職。
「すべての人のより良い人間関係と幸せのために」を理念に、新会社を立ち上げたのでした。
後編へ続く――