インタビュー

私らしく人生を歩みたい―。
そうは思うものの、そもそも「私らしさってなんだろう」と疑問が浮かぶ人もいるはず。
「La-Chic」では様々なフィールドで「私らしく」生きる女性=“ラシカりすと”達にインタビューしながら、読者の皆さんと一緒にそのヒントを見つけていけたらと思っています。

今回のラシカりすと

宮田妙子さん

富山国際学院/NGOダイバーシティとやま

宮田妙子 さん

何のために生きるのか。
何が心を満たすのか。【後編】

ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために、とはいうものの、それでも利己的になってしまうのが人間というもの。そんな中にあっても利他的に、人に尽くす宮田さん。そのエネルギーの源や思想について、さらに深堀していきます。

選ぶのは自分。
私は何で心を満たすのか。

―人のために尽くす人生を送っておられるように思いますが、子ども時代からそういうタイプだったんですか?

どうでしょうか。子どもの頃は父の影響でたくさん本を読んできました。
車がなかったので、週末に父と自転車で図書館に出掛けるのが楽しみのひとつで。

たくさんの本を読んだり、世界の情勢について考えたり、そんなこともでした。

 

中学生の頃には

「人はいつかは絶対に死ぬのに、どうして人はお金に縛られてるんだろう。どうしてそんな大人が多いんだろう。」

とそんな疑問を持つようになりました。

もちろんお金は大切なんですが、自分の心を満たすためには何を大切にしたらいいんだろう、と考えてみたときに、私はお金よりも人かなぁと思ったんです。

 

―そうは言っても、活動をし続けるためには利益も大切なのに、手弁当で日本語教師を続けたりと行動を起こせたのは何故ですか?

やっぱり居場所がなくて苦しんでいる子どもたちを見て、触れ合ってきたからこそだと思います。
自分が食べる分くらいはどうにでもなるって思うんですよね。でもその子どもたちには手を差し伸べる大人が必要でしたから。

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最近では、SDGsで「誰ひとり取り残さない」と言われるようになり、その意識も上がっているとは思いますが、それを絶対に絵に描いた餅にしたくないんです。そしたら行動を起こすしかないですよね。

 

 

Think Globally,
Act Locally

―困っている人、救ってほしいと思っている人を支援してきて、今どんなことを考えていますか?

実は「支援してる」とは思っていないんです。

「支援してる」って思うと、どうも上から目線な感じがしませんか?
私もみんなからもらっていることがあるし、学ぶことも多いんです。
多文化共生ってそういうことなのかなって。私自身が一番多文化共生を感じて生活しています。

 

私が大切にしている考え方のひとつに「Think Globally, Act Locally」というものがありますが、これは「地球規模で考え、足元から行動せよ」という意味を持ちます。

自分一人の命と考えたら短いけれど、命って繋がっていると思うんです。
日々小さな悩みはたくさんあるけれど、生命体として繋がっているなら、それらはちっぽけなことで。せっかく悩むなら広い視点で悩み、行動を起こしたいんです。

子育てひとつ見ても、社会で子育ての問題には取り組むべきだと心から思っています。

 

―これからはどんな夢を描いていますか?

いろいろ妄想を膨らませています(笑)。
ドリプラを創設した福島先生の口癖に「妄想したら、もうそうするしかない」っていうのがあるんですけど、その言葉の通り、やりたいことはトライアンドエラーでいいからやったらいいんだろうなって思ってます。

これからの夢のひとつには《畑の中で多文化共生農家民宿》を作ることを掲げています。
みんなで土を触って、いろんな国の食事をして。そんな場所で、いろんな人と年を重ねていけたらいいなぁ、と思い描いています。

あとは、これまで30か国以上の人に日本語を教えてきたので、その教え子の国を巡ってみたいなぁと思っています。

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生ぜしもひとりなり。
死するも独りなり。

―畑の中で多文化共生農家民宿?畑もされているんですか?

はい、有機野菜作りをしています。
もともとはコロナで学生たちとの活動が出来なくなってきたことがきっかけで、そんな中でも出来ることがないかと考えたのが畑でした。

コロナ禍で出来ることを模索していた時に知り合った方が有機野菜を作っていたんです。
その畑は、不登校の子ども達が一緒に野菜作りをしていて、収穫したてのピーマンを生のままバクバク食べていて。とにかくびっくりしました。

みんなで土づくりをしたという、そのふかふかの土の上に立ったら、すごく面白くて。

それで、畑の一角を借りて、多文化共生畑というのを始めたんです。外国人のみんなでいろんな国の野菜を作っています。
コロナがきっかけだったけど、今ではコロナに関係なく、これからも畑をやっていきたいと考えています。

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―最後に宮田さんにとっての「私らしさ」について教えてください。

「一日一生」であること。
笑顔でいられること。

人はいつか必ず死ぬのだけど、それを忘れて目先の欲にとらわれて、しかめっ面をしていては人生もったいないなと思っています。

今の悩みは来世まで持っていくわけじゃないから、ケセラセラで行きましょ♪って。

別に多少ズボラでもいいじゃないですか。
自分の心が無理をしていると思ったら、無理をしない。
自分の心が喜ぶ場所、人、モノをたくさん見つけることが「私らしく」いるためには大切かなって思っています。

 

宮田妙子さん
プロフィール

宮田妙子 さん

ラシカりすと File012

富山国際学院 理事長
NGOダイバーシティとやま 代表理事